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元気と時間がないと言い続けて死ぬ、

話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選

はじめに

私はオタク=ブログを読むのが趣味なのですが、私が尊敬するアニメオタクの方々は年末になると『話数単位で選ぶ、20XX年TVアニメ10選』というブログ記事を投稿しがちです。

私も投稿したくなったので10選を選定してみました。順不同です。よろしくお願いします。

10選には私的なコメントを付けています。眠いので文章がおかしいかもしれません(前振り)。

この企画はどうやらaninadoさん主催の企画(正確には新米小僧さんから引き継いだ企画らしい)だそうで、2022/12/31までに投稿すると集計の対象になるとのことなので、年明けに間に合うように突貫作業で編集しています。



10選

エスタブライフグレイトエスケープ-第11話本心からは逃げられない

脚本:賀東招二 絵コンテ:島村大輔 演出:島村大輔 監督:橋本裕之

全体を通して質の高かったアニメ。11話は主人公たちが積み重ねてきた関係性の総決算のような話でした。

噴水でのシーンは何度観ても痺れる。

マルテース「先輩の嫌いなところ、やっと1つ見つかりましたよ」

マルテース「それってつまり相手に興味がないってことですよね」

エクア「違います」

マルテース「相手になんにも期待してないから腹が立たないんでしょ?」

(中略)

エクア「だったらなんて言ったらいいんです?」

マルテース「そんなの決まってるでしょ!」

マルテース「『来て! 私のために来て! あなたが必要なの! あなたの助けがいるの! 私にはあなたしかいないの!』」

マルテースを演じる長縄まりあさんの演技、そして藤澤慶昌さんのエモーショナルな劇伴がすごい。キャラクターの配置、光と影の演出、徐々に噴き出す噴水の構造がキャラクターの内面の隠喩になっている。

その後のエクアとフェレスの掛け合いも良かったね(オタク顔)

ワッチャプリマジ! - 第37話だいじょうぶ!?みるれもデート!

脚本:高橋征也 絵コンテ:誌村宏明 演出:髙橋福大郎 監督:小林浩輔

みるれもを決定づけるようなエピソードでした。

テンポが良く、話の構造もシンプルで教科書として使えそうです。

まず、デュオのために親睦を深めるという課題があり、次に、みるきと主体性を前面に出さないれもんとの間に不和が発生する。そして、『自分で考えるべき』という気づきを得たれもんが、夕空の下を走る。みるきの元へ。そして二人は打ち解け合う。

アニメーションにおけるキャラクターの『走る』動作の象徴性(類似例としては『色づく世界の明日から』)が表れていて良かったです。

みるきのライブ曲『イワナイ』は37話以前で既に流れていましたが、37話での『イワナイ』はれもんに向けた歌であり、歌詞の意味合いが変わるのがとても好きです。

『ビジネスデート』と表現し表面上は冷たいが内心ウキウキである素直になれない乙女・みるきも可愛かったですし、ラジコンになっているポンコツなれもんも愛おしかったです。

デリシャスパーティ プリキュア - 第35話ここねとお別れ!? いま、分け合いたい想い

脚本:伊藤睦美 絵コンテ:土田豊 演出:上野ケン シリーズディレクター:深澤敏則

ここねがベンチに座っているシーンが印象的でした。

しっとりとした雰囲気と色気のあるテンポ、エモーショナルな劇伴が『マリア様がみている』4期11話『ハートの鍵穴』を彷彿とさせる。 揺れ惑う心が落ち葉と呼応し、吹き荒ぶ突風が心の衝迫を暗示する。 家族に遠慮して本音を打ち明けられない点とか松平瞳子だろ!となりました。

みんなここねの味方ぱむ!

↑これ松平瞳子にこそ言ってあげたい。

連盟空軍航空魔法隊ルミナスウィッチーズ - 6話夢色コントレイル

脚本:春藤佳奈 絵コンテ:春藤佳奈 演出:松村幸治 監督:佐伯昭志

マリア・マグダレーネ・ディートリヒたむ回。

この回を端的に言えば、現状維持からの脱却・高みを目指す再生の物語でしょうか。

クロバットの実技が苦手なマリアは階級や理論武装で自分のプライドを守り、理想から逃げ現状に甘んじている。マリアは眼高手低で卑怯者な自分に嫌悪感を抱いている。 そんな弱みを告白したマリアに対して、マナは同調も同情もせず「よくわかんないから一緒に飛ぼう」と空へ誘う。 最終的にマリアは自分の弱さを開き直って仲間を頼り、高みを目指す。

『現状を打破する手段は行動しかない』というメッセージをマナとの美しい友情を交えて描いたのが良かったです。 挿入歌『夢色今トレイル』でも

さらなる高みの向こう 目指したい でも不安で

大丈夫だよ ぜったいへいき! とりあえず試してみよう!

とあります。ストーリーそのままですね。

映像的にも理解しやすかった。締め切った窓と逆光は非常に示唆的です。

咲う アルスノトリア すんっ! - 12話 すんっ!

脚本:後藤みどり 絵コンテ:青柳隆平 演出:加藤大志 監督:龍輪直征

最終話が第1話の内容をなぞる脚本なのがアツすぎるので選びました。

ソシャゲ原作アニメなので事前情報の段階では作画が不安でしたが、最後まで走り切ったアニメでした。キャラクターのアニメーションが特に丁寧で、萌えへの執念を感じます。

ハイスクール・フリートがっこうぐらし!みたいにビジュアル詐欺の作品と思いきや最後まで美少女たちの秘密の花園を守り抜いたのは賞賛に値すると思います。

シリアスに振り切れそうで振り切れない絶妙な緊張感のおかげで、飽きなく萌えを楽しめました。 すごいバランス感覚の作品だと思います。

Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ- - 6話 DIYって、どうでも・いいもの・やくにたつ!

脚本: 筆安一幸 絵コンテ:安藤尚也 演出:安藤尚也 監督:米田和弘

ぷりんがDIY部と接点を持つきっかけの回。水着回でもある。

せるふとぷりんの関係性が修復される契機となる重要な回。

夕陽のシーンが絶妙な色合いの背景だったので強く印象に残っているため10選に選びました。物憂げな表情のぷりんの色気も最高。せるふに素直になれないぷりんにはやきもきさせられました。11話でぷりんがDIY部に加入するカタルシスのための助走として重要なエピソードです。

機動戦士ガンダム 水星の魔女 - 9話 あと一歩、キミに踏み出せたなら

脚本:中西やすひろ 絵コンテ:小林寛、西澤晋、綿田慎也 演出:鳥羽聡、綿田慎也 監督:小林寛

戦闘シーンのクオリティが高いのは当然として、主人公スレッタがなろう系っぽく敵を薙ぎ倒しつつも、最後は主人公ではなく味方がチェックメイトを決める。まさしく『みんなで勝ち取る勝利』でアツかった。 初見では大河内一楼さんの脚本っぽいと思っていながら観ていましたが、中西やすひろさんの脚本だったので驚きました。 メインのストーリーラインを疎かにしないまま、地球寮やグラスレー寮のキャラクターの掘り下げとシャディク・ゼネリの失恋を密に描き切った優れたエピソードだと思います。

TVアニメ「てっぺん!!!!!!!!!!!!!!!」 - 5話 ランプの章

脚本: 熊谷純 絵コンテ:渡部穏寛 演出:渡部穏寛 監督:渡部穏寛

このエピソード自体がコントとして成立している。エピソード自体がコントになっているのは「てっぺん!!!!!!!!!!!!!!!」の中でも第5話だけだったと記憶している。ループ物のコントは現実では実現不可能なのでアニメならではの題材だと思います。 キャラクターと一緒にコントのルールを把握し、キャラクターのツッコミを先読みするライブ感が楽しく、夏アニメが終わった後も強く印象に残っています。

ヤマノススメ Next Summit - 12話 行こう!新しい頂きへ

脚本:山本裕介 絵コンテ:山本裕介 演出:重原克也 監督:山本裕介

1期から4期までの総決算に相応しい最終回でした。背景と音響のリアルな質感、声優さんの演技、そして疲労感が手に取るように分かるアニメーション、全ての要素が噛み合っており、まるで自分もあおい達と一緒に富士山に登っているかのような、そんな不思議な臨場感があります。過去の自分を追い越し、未来の自分の背中を追うエモい演出が、明るい未来への希望を予感させられ、自分も明るい気分にな李ました。最終話のED曲が1期ED曲なの反則です。

明日ちゃんのセーラー服 - 1話 あこがれのセーラー服

脚本:山崎莉乃 絵コンテ:黒木美幸 演出:黒木美幸、都築遥 監督:黒木美幸

中学校入学への期待感を瑞々しく表現した1話だったと思います。スマホの画面をタップする音、制服の衣擦れの音、ゴム紐を外す音などの効果音に気合が入っていました。やや過剰とも言える主張の強い効果音や明度の高い眩しい背景は主人公の若々しい感性のフィルターを通して世界を見ているかのよう。要所要所で製作陣のフェチを感じる。青春フィルターを通しても隠しきれない足への執念に拍手したいです。

終わりに

アニメのキャプチャ画像を貼っていないので視覚的に見応えがないにもかかわらず、ここまで読んだ物好きな方がいたら本当にありがとうございます。 おやすみなさい。良いお年を。